東京東部にある精米店「三河屋」では、何十年もの間、買い物客は現金で支払いをしていました。しかし今や、PayPayの営業員がこの地区を訪れ、自分たちの製品の導入を試してみるように説得に成功したのです。
店主によると、PayPayの「手数料無料」「インストール無料」という提案は断るには惜しく、試してみても損はないだろう、と考えたそう。その背景には、店頭で若者の数が増えていることがあります。
そもそもPayPayとは、ソフトバンクが所有するデジタル決済サービスのことで、飲食店、スーパー、ドラッグストアなどをターゲットに営業部隊を展開し、これまでに300万以上の加盟店と約530万の事業者を集めています。
Paypayのアプリは、政府が支援する消費者の「脱・現金」の重要な原動力として浮上しています。現在、労働力不足とソーシャルディスタンスの必要性に迫られている中で、これは有効なサービスだとされています。
また、ソフトバンクはキャッシュバックキャンペーンを通じてPayPayの普及を促進し、10日間で100億円をプレゼント。今のところ現金を放出し、中小企業には決済サービスの料金を請求していないため、PayPayは赤字になっているように見えます。
がしかし、同社は顧客をアプリ上のローン、株式取引、預金サービスに誘導したいと検討中。この2年半の間に約5000万人のユーザー数を獲得し、インターネット企業とPayPayの主要な競合相手であるチャットアプリ「LINE」との合併を見事成功させました。
ただし、中小企業では、現在0円である加盟店手数料が、今年は値上がりします。とはいえ、同社はユーザーに対し、可能な限り手数料を低く設定することを約束。Paypayを導入しているほとんどの加盟店や中小企業は、メリットの方がコストを確実に上回ると述べています。
PayPayを使用してスマートフォンで決済を処理するには、QRコードを使用するだけでいいのです。これにより、コストのかかる端末が不要になり、小売店のインフラが整っていない市場からの進出が可能に。
Paypay登場以前でも、日本には世界に通用する決済サービスの素質が早くから多くありました。QRコードも、JR東日本の決済システムを支えている非接触型技術「FeliCa」も、国内企業が発明したものです。
PayPayのライバル競合他社を挙げるとすると、ソフトバンクのモバイルユーザーをターゲットにしている楽天でしょう。楽天は、アプリを簡素化することでクレジットカード業界全体にディスラプションをもたらしています。
ところが、PayPayが際立って生き残っていく公算が大きい、とはっきりいえます。というのも、チャットアプリを運営する事業者が、今年3月にソフトバンクのZホールディングスと合併したのです。これにより、PayPayは8800万人のユーザーにアクセスできるようになりました。そのうち4000万人近くが、同社の決済機能を利用しているといいます。
アナリストのマイケル・コーストン氏は「PayPayの潜在的な収益を引き出すには、統合が鍵となりますが、ソフトバンクとZホールディングスにおける統合の歴史は、必ずしも迅速かつ最適なものではありませんでした。」と述べています。